近年、「里山」が注目を集めている。人の暮らしと自然が調和した環境、小川や田んぼ、雑木林などを含む丘陵地周辺を指して言われることが多い。カエルやドジョウ、メダカ、昔はホタルなども生息していたでしょう。林は、薪炭林として萌芽更新されるなど人の手が入っていました。当然、落ち葉も利用されていました。しかし、時代の変遷に伴い徐々に里山は山里へと後退して行き、私たちの生活から離れた存在となってしまいました。
「町山」この言葉は、ほぼ聞かないフレーズです。しかし、杉並でも半世紀前頃までは、屋敷林を「やま」と呼んでいました。裏(母屋の北側)のやまへ行って薪を拾ってきてくれ…。これは、私の育った地域なり場所だけで呼ばれていたとは考えていません。屋敷林は、南に開け、カキやユズなどの実がなるものが植えられ、東の一部には竹林、北・西はこんもりとケヤキやスギ、ヒノキ、イチョウが生え、更にはクリの林までありました。季節によりタケノコやクリ、銀杏など食物が採れていました。そして周辺から見ると、まさにこんもりと山のように見えていました。
これこそ、今の住宅地化してしまった町に今なお残る大切な自然的環境です。ビオトープという場所づくりがもてはやされ、水、トンボありきと考える方も多いと思います。こうした場所も都市では大切です。ただし、手を掛けずに野放しにしてしまっている所も多く、住宅地の中では問題化もしています。創り出した環境はその場所に適応するために変化します。それを踏まえて適切に維持管理をすることが必要です。このことを念頭に置いて創られることを願っています。
その点、何百年とその風土に合った状況で育ってきた「町山」=都市の森=都市内の「屋敷林」は、今の時代ですら「アオバズク」が飛来して初夏の夜遅くまで鳴いています。この町山こそが都市におけるビオトープであり、様々な生き物を育む貴重な場所で、周辺環境の維持・改善に重要な役割を担っているものです。どんなことがあっても、町に暮らすみんなの環境財産として屋敷林を守り、残さなければならないと考えています。
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